【デェン・ナベ子の電鍋教室 #2】 時間がおいしく!台湾式豚の角煮のせごはん「焢肉飯(コンロウファン)」レシピ
台湾の国民的家電「大同電鍋」。
いま日本にもユーザーがどんどん増えています。
otonataiwan オトナタイワンでは『気軽に作れる本格的な台湾の味』を目指し、台湾で活躍する電鍋のプロ、デェン・ナベ子先生こと、石田香織さんに毎回電鍋を使った、ベーシックな台湾グルメを教えていただきます。
角煮好きにはたまらない「焢肉飯(コンロウファン)」
第2回目の今回は「焢肉飯(コンロウファン)」。
魯肉飯の角煮バージョンといった感じで、こちらも台湾では定番料理のひとつ。ごはんの上に角煮(焢肉)がどかんとのっかるのでボリュームも満点。食堂やお弁当などでよく見かけるメニューです。
日本の角煮と違うのはやはりほんのり台湾らしいスパイスの香りが漂うこと。
今回は前回の茶葉蛋(チャーイエダン)で教わった煮込み用スパイス袋「滷包(ルーバオ)」に新たなスパイスをひとつちょい足し。あとは電鍋の保温の力を利用してスロークックで作ります。
時間はかかりますが、材料さえセットすれば放置するだけ。時間と電鍋がしっかりと美味しい焢肉を作り出してくれますよ。
砂糖は使わず薬膳食材でこっくりと
今回のレシピはナベ子先生が、台湾人の日本語世代の方に作ってもらい、感動したという味をベースに電鍋用に書き起こしたオリジナル。ポイントは、なんと砂糖を使わずに、ナツメ・クコの実・ドライイチジクを煮込むことで優しい甘さを出すこと。
滷包にもスパイスが色々入っているので、薬膳料理ともいえる素敵な一品が完成しました。
にんにくをたっぷり使用しているので、煮込んでいるときはほぼ同じスパイスを使用しているのに、茶葉蛋とはまた少し違う、より食欲をそそる香りが漂います。
ですが、食べると八角の香りなどはマイルド。そこまでスパイスの風味は強くないため、とても食べやすく、どんな方にもおすすめできる万能レシピです。
台湾では皮つき豚肉を使用するのがスタンダードですが、日本では手に入りずらいので、スーパーで売っている豚バラブロックを使います。
電鍋と滷包、そして薬膳食材の魅力を堪能できるレシピです。ぜひお試しください。
講師紹介
石田香織(台湾在住17年目)
栄養士・調理師・低糖質スイーツ講師
台北にて長年飲食店を経営。現在は電鍋をはじめとした料理講師や台湾や日系企業の飲食コンサルタント、レシピ翻訳などを行う。台湾料理をはじめとしたアジア各国の料理を本場講師より学び、その経験を活かし、電鍋を使用した料理を研究。自作電鍋レシピはスイーツも含め500を超える。2017年より、”電鍋魔術師・デェン ナベ子”として、電鍋レッスンを台湾在住日本人や観光客を中心に開講。口コミが広がり、最近は台湾人向けのレッスンも定期的に行っている。
@kaori_denguo @den-nabeko
焢肉用の滷包を手作りしてみよう
まずは味の決め手となる滷包を作りましょう。スパイスをお茶パックに入れるだけで準備は完了。前回使用したこちらのスパイスに
今回は肉の臭みを消す、ナツメグをプラスします。
材料
- 八角 2個
- シナモン(粉) 小2
- フェンネルシード 小2
- 月桂樹の葉 2枚
- 黒胡椒(粉) 小1
- ナツメグ(粉)小1
用意するもの
- 市販のお茶パック
作り方
- 滷包の材料を全てお茶パックにいれる。
- 月桂樹の葉は1枚を6等分くらいに割る。
- 八角はお茶パックに入れてから布巾をかぶせ、瓶などで大まかに砕いておく。
焢肉飯(コンロウファン)の作り方
材料(4人分)
- 豚バラ肉(塊) 500g
- ナツメ 12g
- クコの実 大2
- ドライイチジク 5個
- ニンニク 8片
- 滷包
- <調味料>
- 醤油 90cc
- 酒 50㏄
- 水 1.5杯(材料がひたひたになるくらい)
作り方
1.豚肉を切る
- 豚肉を大きめに切る。
(今回はスーパーで買った縦長のブロック肉を上から縦半分(幅2.5~3㎝くらい)にしてから、10㎝くらいの長さに切り分けました)
豚肉は煮崩れさせずに表面を硬めに作りたい場合は焼き目がつくまで表面を焼き、出てきた余分な脂をとっておきます。
台湾式にトロトロで崩れそうな感じに仕上げたい場合はそのまま使います。
2.電鍋で煮る
- 電鍋の内鍋に1で切った豚肉、残りの材料、調味料、滷包をすべて入れる。
- 外鍋に水2杯入れ、外蓋をしてスイッチを入れる。
- スイッチが上がったらそのまま保温で3~5時間放置する。
- ごはんの上に盛り付けて出来上がり!
(写真左)調味料以外の材料が入った状態。(中央)調味料と滷包が入った状態。(右)保温約1時間後。脂身がまだ固め。
デェン・ナベ子先生からのアドバイス
材料を入れて、スイッチを下げたら、スイッチが上がるまで蓋をあけるのは我慢しましょう。加熱中は内部に適度な圧がかかっていて、そこが味が浸み込み柔らかく仕上がるポイント。蓋をあけてしまうと、その圧がかからなくなってしまいます。
また、スイッチが上がってから3~5時間放置としていますが、私は夜に作って、朝まで放置しますよ~。ナツメが溶けるくらいまで煮るのが理想です♡
もし煮卵も合わせて作りたい場合は、保温の途中で殻をむいた茹で卵を入れるといい色がつきますよ。
最後に
編集部ではナベ子先生からレシピをいただいてから、一度必ず作成しているのですが、確かに放置時間を増やすと、特に脂身がどんどんとろける感じになっていくのがよくわかりました。先生曰く、保温は50℃くらいをキープしているので、とろ火でコトコト煮込んでいるような状態なのだそう!
撮影に使用した、ごはんの上にのせた焢肉は5時間ほど保温して、そのあと電源をオフにして一晩おいたもの。表面に白く固まった脂は取り除き、外鍋に少量の水を入れて温め直ししました。これがまた、味は浸みこみ、お肉は箸で切れる柔らかさで脂身はとろとろ。脂っぽくもパサついているわけでもない、とても美味しい仕上がりになりました。
角煮といえば煮込む前に下茹でたり、焼いたりしなければならないと思い込んでいたのですが、これを食べたら思い込みが見事に吹き飛びました。簡単でまさに本格的な味。ぜひこれはたくさんの方に作ってみてほしいです!
デェン・ナベ子先生に教えて欲しい電鍋レシピや電鍋に関する疑問・質問などありましたらぜひこちらからメッセージをお送りください。個別にお返事はできませんが、連載内容の参考にさせていただきます。